かんちゃんのお弁当

困っている人を助けるお手伝い

love

コロナ禍で人々の気持ちも殺伐としがちなこの時に、とても心温まる素敵なお話が東京、赤羽の商店街にありましたのでご紹介します。主人公は小学6年生の松尾栞奈(かんな)さん(12)。ニックネームは「かんちゃん」。学校で命の大切さを学び、犬や猫の保護活動に関わってきた心優しい12歳の少女です。かんちゃんがお弁当を作るきっかけは、あるネットで見つけた記事でこの活動を知った事でした。かんちゃんが通っている塾の近くにある「ソーシャルコミュニティめぐりや」です。今年1月から毎晩、生活困窮者に無料で弁当やカイロなどを提供していました。この記事を読んで、かんちゃんは「私も手伝ってみたいな」と思い、お母さんの啓子さんに相談したそうです。このお母さんも素晴らしい人だと思います。生活困窮者やホームレスの人々と愛娘が関わる事を反対せず、「かんちゃんがやりたいこと、やってみたらいいよ」と、娘の背中を押したそうです。

心優しいかんちゃん 無理せず頑張って下さい。私も応援してま〜す。

以下は朝日新聞社会面より抜粋です。

最初は、どうやってお店に近づけばいいか、悩んだ。
 啓子さんと相談し、まずは家に眠っていた古着を持って行った。2回目、野菜ジュースを差し入れに行ったとき、思い切って言ってみた。「あの、手伝うことありますか?」。最初の「お手伝い」として、店の人たちと一緒に公園でおにぎりを配ることになった。
 近くの公園で夜を過ごす人たちにおにぎりを渡した。「僕なんかはもらえません」「いいんですか」。そう言いながら大切そうにおにぎりを受け取るホームレスの人たちを見て、「怖い人」と思っていたホームレスへの印象が大きく変わった。
 かんちゃんの存在は、店を訪れる人たちにも変化を起こした。
 てんかんの発作でタクシー運転手の仕事が続けられなくなり、生活保護を受けている60代の男性は、かんちゃんからお弁当を受け取って、うれしそうに笑った。そんな姿に、「あの人も随分変わったなあ」と話すのは、店のオーナーの橋本保憲さん(68)。前は伏し目がちで、人と関わりたくなさそうだったのに、今では自分で弁当を取りに来られないホームレスの人たちに店の弁当を届けてくれるようになった。
 足をけがしてベンチの前で震えていた60代のホームレスの男性が気になって、啓子さんとカレーを持って行き、ベンチの前にレジャーシートを広げて一緒に食べたこともあった。男性は、ぽつりぽつりと身の上話を口にした。
 大工だったこと、魚がおいしい故郷のこと……。「僕なりに頑張ってきた」。そう話す男性に、かんちゃんはおこづかいで買った歯ブラシとばんそうこうが入ったポーチを渡した。
 「困っている人に寄り添える大人になりたい」とかんちゃんは言う。店が弁当の提供を続ける限り、これからも毎日手伝うつもりだ。(御船紗子)

▪️抜粋・引用/朝日新聞