地域へ恩返し

みらいチケット誕生秘話

「げんきカレー」店主の斎藤樹(しげる)さん(51)の本業は英会話教室の経営者です。お店は1人で切り盛りして、お米などは農家からの寄付などがありますが、お店の家賃や光熱費などで赤字なんだそうです。ではなんでお店をやられているんでしょうか?実は斎藤さんは地元の生まれで、小学校時代共働きの両親がいない時は、ご近所の人に大変にお世話になったそうです。そしてお世話になったご近所、地域へ恩返しがしたいと「げんきカレー」を始めたそうです。

以下は讀賣新聞2023年1月4日朝刊「安心の設計」より引用・抜粋

子ども達がたくさん食べれますように

食事代より多めにお金を置いて帰る大人の思いを、子どもたちの笑顔につなげる「みらいチケット」は、2018年5月の「げんきカレー」開店から、3ヶ月後に誕生した。「60円しかない。どないしよ・・・」。子どものカレー代は半額の100円。でも、よくやって来る14歳の少年はその日、ポケットを探って表情を曇らせた。「足りない分、出したる」。常連客が見かねて声をかけた。店主の斎藤さんはハッとした。「100円でも払えない子がおるんか・・・」大人が買ってくれたチケットを子どもが取り、無料で食べられるようにしたらどうだろう。常連客にそんなアイデアを話すと、「俺、チケット買うで」とすぐに賛成してくれた。

「初任給出たから」

ワンコインスペシャル

倉本晃佑さん(19)は19年の夏、数ヵ月ぶりに店を訪れた。「やっぱり、うまい!」。中学生だった頃、チケットで何皿も食べたカレーに顔をほころばせた。注文はエビフライやカツが載って500円の「ワンコインスペシャル」。この店の一番高いメニューだ。食べ終わって帰る時に、「チケットを・・・」と切り出した。もうチケットを使える年齢ではない。なのに、斎藤さんからは、「使っていいで」と明るい声が返ってきた。「ちゃうねん。初任給が出たから、チケット買うねん。俺らがいっぱい、使っていたから」高校をやめ、働き始めた直後だった。食事代のほかに千円札を取り出して、5枚ボードに貼った。学校に行かなくなっていた中学3年の頃、「安くてうまいもんが食える」と通い始めた近所の店で、チケットを貼る大人の姿を見ていた。「自分で稼げるようになったら、やってみたい」みらいチケットが誕生するきっかけとなった「60円しか持ち合わせがなかった少年」が倉本さんだった。思いがけぬ申し出に、斎藤さんは調理場で泣いた。

▪️出典・引用/讀賣新聞2023年1月4日朝刊

斎藤さんの地域へ恩返しの気持ちが見事に実った素晴らしいお話です。新年早々に泣いてしまいました。そして、いつこのお話をご紹介しようと迷っていました。そこに飲食店での迷惑動画です。業態・業種の違えはあれど、お店の皆さんが一生懸命に提供された料理に何て事をするんでしょうか。一部ではあると思いますが彼等の行動が残念でなりません。